企業からご依頼を受けて社員研修の講師をしている際、下記のような現象が頻繁に起こります。
・開始前に、受講対象者に対して、研修実施の目的が通達されていない。
・数名の受講者が当たり前に遅刻したり、途中で抜ける、私語や批判的態度をとる。
・開始にあたり、実施している責任者が何もオリエンテーションしない。司会者がいない。いきなり始まる。
・冒頭で、この研修は何の目的で、どのようなゴールを目指すのかを口頭で伝えない。いきなり「では、講師の方、お願いします」と講師にすべてを振ってしまう。
組織として、受講者に何を目指して欲しいのかを明確化しておかないと、 受講者はどこへ向かって良いのかわからなくなります。ひどい会社は、指導責任者である管理職が不在、一切知らん顔してしまう場合があります。
研修の内容や進行に関して、「オブザーバー」になりきってしまい、何も関与しない。人事や総務担当者は、「受講者から、指示しているように見られなくない」「受講者に嫌われたくない」という思いがあるのでしょう。
研修前の企画段階では、目的や課題を明確化しているのだが、「それは講師から伝えて欲しい」、「人事部や総務部は直接指示はしない」というスタンスを取っています。そのため、進行は「すべて講師が指示している」ような振舞をする。 この結果、受講者が満足しない場合には、講師の力量不足と評価し、講師の責任としてしまう。 結局、問題解決しないのは講師のせいであるとし、別の講師をずっと探し続けることとなる。
☆このような研修の企業では・・・ ・皆が意欲を向上できない。 講師や研修プログラムがいくら良くても、集合させた組織の担当者からの 期待や承認を受けていなければ、誰もやる気にはならないものです。アンケート結果が悪い 満足度、理解度が非常に低くなります。そして当然、職場での実践度も下がります。一体感、変化への意欲も気づきもない。職場でも何も変化しない、態度もチームワークも変わらない 一体、誰が、何に対して、問題意識を持ち、どこまでやろうとしているのでしょうか? 講師が何かを変えてくれるのでしょうか? 研修費用を払えば、嫌われ役をやってくれる講師役が来てくれるのでしょうか?
☆個人の納得感
ただし、そのような運営でも、一人でも二人でも個人で吸収力の高い人がいます。 自身が組織依存しておらず、オーナーシップの持ち主、組織の潜在的問題に気づいている人は 研修内容を自分のものとして理解できる人もいます。 ただし、かなり少数となります。必ずだれかいるとは、あまり期待できません。 研修は誰のために行っているのでしょうか? 何のために知識やスキルをアップさせるのでしょうか? 時間とコストを使って皆を集合させるのですから、講師をただの「試し」に使うのではなく、 組織の生産性向上及び活力アップ、組織力向上への能力開発機会として しっかり計画を練って、講師と共に運営側に立ち、責任を持っていただきたいと思います。 管理者自身が現場に出て、研修で受講者と一緒になって考えて、その後にフォローして回ってくれることが求められているのではないでしょうか?