あの有名な未来工業へ見学に参加させてもらえる機会を得ました。 売上年間200億円、経常利益率が常に15%程度、年間休日140日。加えて改善提案が年間1万件超・・・という数字はあまりにも有名です。 

会社見学でわかった未来工業の強み
●改善提案を「とにかく出す」
義務的に・・・というのではないのです。「書いたら500円もらえるよ」と気軽に書いていきます。 何でもいいから書いてみると、500円がもらえる。これは面白い、ということでどんどん出していく。 多い人は年間200件も出す、と。 もちろん書いていくうち、素晴らしい改善案が出てきて、職場改善が様々に実現されていきます。 改善後にはシールが張られ、社内のあちこちにその改善結果が見られました。 社長の命令ではなく、社員一人ひとりの意見から生まれているのです。 「改善提案書」のフォームは文字でびっしり記入できる罫線の多いもの。 かなりの論理力と説明力を要するフォーマットです。必須なのは「数字」を記入し、どれだけ生産性や利益に貢献できるのかを考えることが求められていました。

●工場のあちこちに「常に考える」の看板
「これか~」と思いました。あちこちに張り付けられています。 忘れないように、視覚化されています。 社是らしいのですが、上からの命令をしないので、自分で何でも考えるのだ という実践なのです。 トップから「これをしろ」「あれをしろ」とは言わない。 社員皆で、「お客が何を喜ぶか」、幸せにしようと、面白がらせよう、仕事をしやすくしよう、 ということを日々考えている組織なのです。 商品開発力がすばらしく、実用新案件数も国内トップクラスです。 お客様の話を聞き、きっちり対応し、お客様の抱えている問題を解決する商品を出す会社です。 そして年間新製品が800以上とか、多品種少量、短納期・・・商品名も面白い「これ、あったー」の ようなネーミングで楽しくなります。 売れない製品を無理やり売ろうとするよりも、お客さんの話を聞いて、開発するという戦略のようです。

 

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小さな倹約、大きな浪費」
利益率が大きいのは、コストカットに相当な努力をしています。 制服を支給せず、社用車もありません。効率優先でムダがないようです。 見学の途中も、廊下は暗く、不要な電気を消すとか、社内もトイレもとてもアナログで昭和的でした。 机の1つ1つにスイッチがあり、不要な場合には逐一消していきます。 でも、年間休日の多さ、そして5年に1回の海外旅行は全員で行き、しっかり浪費をしています。 つまり、これは、必要な無駄と不要な無駄を見極めろということ。 ただ単なる、ケチケチではなく、従業員の生産性を上げるために、出すところは出す。ここの特徴だと思います。 内部留保もあるので不景気だろうと投資が出来る。 これは「いいものを高く売る」方針。いいものは高いのです、当たり前です。利益を出す商売をしています。 日本の自動車メーカーや液晶産業は不景気時に投資を節約して、価格下げ、競争力を失ったのとは対照的です。

●信頼関係が築かれた組織
基本的に、経営陣が社員を信頼しているというのがよくわかりました。 創業者の考え方なのでしょう。素晴らしいです。 終身雇用、正社員、年功序列、定年70歳、なのです。平均年収600万円はため息の出る会社です。 「やる気になる」会社にする、という目的でそうなさっている、と。 従業員が怠けている、と思うから叱る、監視して命令する、給料を下げる、パート職にする、 成果主義をして評価をする、旅行や休みを与えない、話し合いがない、暗い関係となる・・・。 他よりも給料が高い、だから頑張って仕事をする。 会社を誇りに思う、・・・ものです。 上司は、命令をしないで、説得をしろということだそうです。 教育しない、管理しない、強制しない・・・。 だから、従業員も経営陣を信用しているのですね。 経営陣の方や社員の方は、飄々と淡々とした大げさな感じでなく、清廉な感じでした。 皆が口調や雰囲気が似ていました。とても誠実な感じを受けました。   すぐに、他社がまねできるということは難しいのですが、大変感動しました。 演劇をしていた創業者ならではの顧客満足への意識が徹底されていること、 そして、利益を一人のものにしようという発想がなく、社員が長く働く会社を居心地よくしようという 思いを徹底して追求されている姿勢があったからこそ、長く利益を出し続け繁栄しているのです。 また、参加したいものです。