日本経済団体連合会は1月18日、「産業界の求める人材像と大学教育への期待」に関するアンケートの結果を公開した。
グローバルに活躍する日本人の人材に求められる素質、知識・能力についての質問で、最も多かったのは「既成概念に促われず、チャレンジ精神を持ち続ける(419社)」、次に「外国語によるコミュニケーション能力(368社)」となった。非経団連会員では「企業の発展のために、逆境に耐え、粘り強く取り組む(144社)」という意見も多い。
また、大学生の採用にあたり重視する素質としては「主体性」「コミュニケーション能力」「実行力」「チームワーク・協調性」となっている。この回答は以前の調査結果とそれほど大きな違いはない。組織で求められる態度として至極当然であろう。さらに技術系・理科系に求めるものでは「専門分野の知識」「論理的思考や課題解決能力」を身につけることが期待されているようだ。
そんな質問において、特に面白いなと思ったのは調査質問の中で「大学に期待する取り組み」を問いている点である。教育方法の改善が第1位、その方法として「双方向型、学生参加型、体験型授業の実施」を求めている。実は私も同感、大賛成である。
私の息子は大学2年生。都内の私立大学であるが、マス授業の講義に対し全く興味を持たない2年間が過ぎた。単位は仕方なく取っているが、尊敬する教授も興味をもつ授業も見いだせないでいるようだ。入学後、この子の何が変化し、成長しただろうか。
人事採用のコンサルティング場面で、大学生の自己PRは「アルバイト活動」を挙げる者がが断然1位で割合が高い。大学の授業やゼミでの体験や成長を誇らしく思う学生はほとんどいない。そして、採用担当者も大学内部の成績や修得知識を特に求めているわけではないのだ。しかし、一人の親として、年間100万円以上を支払っている学費への費用対効果を考えるとあまりにも低効果であるし、このままでは早く退学して働いて欲しいと思うのが本音である。身にならない知識を得るために、高い学費を払い、学歴を得るためだけに無駄な4年間を過ごしているように思えてならない。
実際に自分で考え、体験し、現実の状況に対応して知識を活用する場面がなければ身につく学習にはならない。大講義室で教科書のあらすじを説明する講義をきくだけで、その後の演習や熟考や活用機会のない授業に、何の収穫があるだろうか。
企業内人材育成・能力開発においても課題は同じである。どうやって体得し、成長してもらうか・・・。知識を与えるだけではなく、いかに本人が活用力を持ってくれるか、自発的創造性を発揮してくれるか、それが大変重要だ。