研修の効果は受講者が内容を理解し、そして職場で実践するような行動変革を起こしたかどうかが最も問われるものだ。企業の効果の定義で広く考えると経済的な投資効果があったかどうかが問われる。

当社が実施した研修は、研修の目的に沿った学習が受講者の中で行われたかどうかをきちんと測定することに努めている。実施企業にお任せしてしまうと、簡易な「終了後アンケート」を取ろうとする。これはモジュール1の受講者の満足度のみを測るものになるので望ましくない。-詳しくはカークパトリックの教育効果測定理論による-下記

モジュール1  研修満足度調査    受講者の研修満足度を測定
モジュール2  学習到達度調査    研修受講による学習到達度を測定
モジュール3  行動変容度調査    研修受講による行動の変容度を測定
モジュール4  組織への影響度測定  組織課題の解決度合いの把握

研修を余興で行う場合や、講演あるいは短時間セミナーに参加した場合にはモジュール1で結構だが、少なくとも受講者に「能力向上して欲しい、行動を起こして欲しい」などの目的を持ってある程度の教育投資と考えている場合には、モジュール3までは測定すべきである。

また、受講直後においてモジュール1の満足度調査を行い、「受講者から人気がなかった」「厳しい講師だった」などの理由で教育を途中で(1回のみで)断念する企業がある。これは間違っている。厳しい研修を嫌うために受講直後の満足度は低いのである。これを実施する場合には、一定期間の後に再度の教育効果測定を行うべきだ。なぜなら、人は耳に痛い指導を受けた後に自己洞察や思考錯誤をして行動をしばらく経ってから始めることも多いからだ。1ヵ月程度の後に行動変化を徐々に起こす人や、半年かかる人もいる。研修直後に「満足」と答えている人が、その後行動変化を100%起こすわけではない。

集合研修では新たな知識や再確認をする場であり、変化を促すには絶対的に職場の力が必要である。テキストや内容だけが面白くても一時的な知識ストックや気分転換にしか利用できない。設定した自己目標が達成できそうな職場、そしてやってみようと思える職場であれば、研修後にどんどんチャレンジが増える。ということで、まずはどんな研修でも「やってみたくなるようなモチベーションを高める研修であったかどうか、講師であったかどうか」が、研修後に確かめられるべきである。