IT系・新入社員対象、2日間の実践的プレゼンテーション研修の講師を担当しました。
昨年以前のプレゼンテーション研修は、話し方を鍛える、人前で上手な発表ができるようになる、という目的がありました。つまりヒューマンスキルを磨くトレーニングが中心でした。
現在、Web会議やWeb商談が多くなり、出向かなくても画面での交渉が半分以上のビジネススタイルとなりました。
大勢の人の前でステージに立つことなく、オンライン上でやりとりできる時代となっています。
画面上で結論やネタが先に簡潔に提示され、効率的な伝達、キーワード(単語)、スピード感、が非常に重要となっています。そして日々それは進化し、ますます競争は激化しています。加えて、基礎的なITスキルも必須です。
人気が出るYouTuberを見ても理解できます。内容が個性的で面白い、画が鮮明、進行シナリオとして起承転結が明快でテンポがよい編集、聞き取りやすい(マイクや音環境)、印象に残る…こと。つまらないYouTuberは、誰からも見てもらえない。

このIT時代にあっても、プレゼンの基本は「提案力を鍛える」ことであり求められる能力の基本は変わりません。思考力、創造力、問題解決力、探索力、論理力などが基本として絶対に必要です。
目の前のターゲット客に対して、創造的な提案をし、申し込みをもらえるような納得性や印象深さを実践。
まずは、1枚で提案を視認化できる文書=企画書を作成するワークから取り組みました。言いたいことをなるべく短い一言で言い表す、ショートにシンプルに絵や図にしていくところから…。長くてくどい説明はしない。チャンネル変えられちゃいますよ。

想定された顧客の困っている問題を聴き取り、その声を解決する対策を思案する。
“自分で考えろ” “他人が考えないようなユニークなアイデアを出せ”の指示を出します。
単なるパソコンスキル技能ではなく、成果を判断する「顧客」という主体に向かって、各自が自身のオリジナル課題解決のストーリーを資料で説明していく2日間です。

実は結構きつい研修。参加者からの「やることが多い」「時間が少ない」「早い」「難しい」・・・の声。
当たり前です。ビジネス現場は常に時間内のオリジナリティと時間内の処理が求められます。
教え方が悪いと言っているあなた、置いてけぼりですよ。
しっかり、その課題が達成できる対策や実行案を考える時間です。ただパソコンスキルを覚えるとか、知識を暗記する学習ではありません。

実習を経て、がっかりしたのは参加者からの「提案したいことがない」の声です。
テンプレートの上書きならできるので提案の土台をちょうだい!と言ってくるのです。ダメです。ゼロから問題発見をしてください。

例題は「片づけたい」「やりにくい」の声に対する提案をする問題演習。決して難しい問題ではないのに、アイデアが浅いのは残念です。小さなアイデアをいっぱい出して積み上げていくことは、どんな仕事にもつながることです。

そもそも、「問題がない」と言うあなた。生きるということはやりにくい、面倒、ちょっと困る、不安、苦痛…そんな問題だらけです。また現在の生活の質を上げようと思えば、もっと〇〇が欲しい…という心の声が聞こえます。欲求や願望、不足感や不満は誰でもあり、この心の声に直面して少しだけ観察して欲しいと思います。心の声が問題なのです。

顧客の課題に向き合い、自分でオリジナルの対策法を「考え」、それを「作品」に表現するのです。無から有を生む、創造と提案の醍醐味を感じて欲しいものです。

コロナ以前は、対面でのコミュニケーションでしたので、もう少し身体の表現や「間」を頼りにできました。この空気感に頼れなくなりました。
今は、より「内容の質」に重点が置かれるのです。良い時代になったとも言えます。根回しや忖度もやりにくくなったのであれば、大歓迎です。

2日間で、PowerPointの企画書を3パターン作成してグループ内で発表を続けました。
最後は、全体での投票で順位を決める。
評価のポイントは下記。
・顧客のやりにくさ、不安や面倒など現実問題にしっかり耳を傾け共感できている
・顧客の問題を解決するための具体的な解決提案を、自分なりに深く考え提案している
・解決方法がシンプルで、現実的、低コスト、効果が出そう、具体的にわかりやすい
・クロージングがある(結局、何が目的なのか、わかる)
・資料が動的、視覚表現に優れている、必須の表記内容が記載、見ていて楽しい
・「欲しい」「もっと見たい・聴きたい」と思える魅力感

自分の課題を明確にし、さらに訓練を続けていただきたいと願います。
新たな解決の発想をし、社会や目の前の人を助けるユニークな解決や改善、変容のアイデアを形にしていって欲しいと思います。活躍をお祈りします。楽しい研修でした。

 
※プレゼンテーション研修の詳細はこちら
 お気軽にお問合せください。