「グループのメンバーを変えてもらえませんか?」

「どうしても参加しないといけないんですか?」

「他の人とレベルが違うので、合わせられません」

「一人で学びたくて申し込んだのですがグループだといやです」

・・・など、このようなご意見をいただくことがあります。

非常によくわかります。

ある知識を習得したい、一定のスキルを体系立てて学びたいという目的が明確で

個人で申込みをした方には、そのような思いが特に強いと思います。

自分でも知識や経験がある方は、特に共感できると思います。

私が過去に参加した研修でも、この形式で非常にとまどい、うまくいかなかったことがありました。

メンバー全員がやる気がない方ばかりだった時です。

目的意識と背景が違う、多様な業種と職種の集まりであり、そして意見がバラバラで

まとめようと誰も思っていないので何も決まらず、困り果てたことがありました。

 

今、各種の研修ではほとんどグループでの活動を一部でも取り入れることが多いです。

座学だけでは学んだことが実際に発揮できない場合もあるため、実習して体で覚える、とか

数名で話し合う、ゲーム式で一緒に演習を解いてみて学んだことが納得できる参加型研修

…などが主流になっています。

特に有効なのは、社内研修です。

意識を統一したい時、情報交換の場にしたいとき、チームワークを醸成したい時、

創造的なアイデアを発散する場合には特に有効でしょう。

 

しかし、個人ワークが適切なときもありますので

何でもグループで行うというのは難しいでしょう。

所属する組織が違う集合研修、個人が集まっている研修ではグループに構成するときから

大変な気配りをすべきです。

目的に合わせ、一定の属性を基準にして同一カテゴリーで集めるのか、別カテゴリーに

するのか。個人の意思で申込みしたのかどうか、、

習得レベルで階層化するのか、自由なグループを選択できるのか・・・?など

グループの持つ意味と、ワークに求める成果を考えておかないと、

受講者の意欲が減退したり、まったく学習効果がなくなったりします。

グループに偏りが出た時こそ、これをどうやって研修内容とつなげて理解してもらうか、

講師のファシリテーション力として腕の見せ所です。

 

ただし、リーダー養成研修はグループをまとめる力を求めるので、グループワークは多用します。

先日のある研修会で、受講者から「グループはやめて」と申し出がありました。

その研修は、「リーダーとしてまとめる」能力を向上する研修でしたので、グループ活動は

減らさず、目的を伝えて参加していただくよう説得しました。

リーダーは、部下や構成メンバーを選べません。

目的に応じて、メンバーの力を引き出すことが求められます。

グループによっては、課題の意味を取り違えていたり、時間内に結論までいかなかったり

一人で何でも決めてしまう人がサッサとワークを終えてしまったり…する場合にも出くわします。

その場面は、職場にもよくある場面に似ています。

リーダーとして、何をすべきか。

このワークでの自分の立ち位置や発言、役割は適切だったのか、他人を否定だけして

傍観者でいただけではなかったか・・・、などのフィードバックが結構な気づきを生むものです。

他のグループと競い合うことで、非常に良いパフォーマンスが生まれることもあります。

 

参加者にとって、どういう形態が最も習得が早くて効果的なのか、

研修プランニングをする立場として熟慮すべきテーマです。

深月敬子